シネマ歌舞伎『怪談 牡丹燈籠』

 

久しぶりの歌舞伎です。

今年3月、京都南座に『オグリ』の上映を観にいく予定だったのに、

直前になってコロナの影響で公演は中止。

歌舞伎だけではなく演劇やコンンサートなど、

大きな劇場でのライブ活動は当面中止は仕方がないとしても、

映画館でさえもなんとなく自粛的な気持ちになり、

シネマ歌舞伎も2月の『阿弖流為アテルイ)』以来です。

 

『怪談 牡丹燈籠』

2007年10月に歌舞伎座で上演された舞台映像で、

当時18年ぶりに片岡仁左衛門さん、坂東玉三郎さんが夫婦役を演じ、

話題となった作品です。

 

落語家・三遊亭円朝の原作脚色したもので、

幽霊と人間の性のおどろおどろしさに、ユーモアと滑稽さ交え、

怪談講話を聞いているように分かりやすく話が展開します。

 

仁左衛門さんと玉三郎さんが、

前半は息のあった畳み掛けるような会話と芝居で笑いをとり、

後半は立ち居振る舞いの一つ一つで人生と人格の変化を体現し、

伴蔵・お峰という夫婦や人間の業を円熟した芸で描きます。

このおふたりのコンビはまさに芸術ですね。

 

今はなき坂東三津五郎さんも3役で登場しさらに見ごたえたっぷり。

原作者の三遊亭円朝役でテンポよく講話をしたと思えば、

田舎者のおとぼけ役でコミカルに笑わせる。

堅実な舞踊家で静のイメージの三津五郎さんの芸の広さに

改めて感服しました。

 

久しぶりにスクリーンでシネマ歌舞伎を観て、

やはりまた本興行も観に行きたいなぁと思いました。

今はまだ8月から公演を再開した歌舞伎座のみの興行ですが、

近いうちにまた大阪や京都でも公演が再開されることを楽しみにしています。