シネマ歌舞伎

 

久しぶりの土曜日のお休み。

11月25日から公開されていたシネマ歌舞伎

『め組の喧嘩』を観に行きました。

 

平成24年5月の平成中村座で、

中村勘三郎さんが初役に挑んだ舞台の最終公演を

映画館のスクリーンで観ることができるなんて、

これは見逃さずわけにはいきません。

 

江戸歌舞伎発祥の地にの芝居小屋を現代に復活させ、

多くの人に歌舞伎を楽しんでもらいたいと、

中村勘三郎さんが浅草に作り上げた芝居小屋「平成中村座」。

通常の劇場とは異なり、舞台と客席が一体となった空間は、

当時とても話題になりました。

 

東京へは足を運ぶことができませんでしたが、

その後大阪でも「平成中村座」をということで、

大阪市北区扇町公園にテント小屋のような芝居小屋が建てられ、

日々満員のお客様で埋め尽くされたことは、

驚きと感嘆とともに今でもよく覚えています。

 

そして『め組の喧嘩』。

江戸時代の風情溢れる世話物で、

ちゃきちゃきした町火消「め組」の鳶頭は、

中村勘三郎さんにぴったり。

人情たっぷりで最後の鳶たちと力士たちの喧嘩まで、

終始エネルギーに満ち溢れていました。

 

おそらく当時、最終公演のサプライズとして

企画されたものだったのでしょう、

お芝居が終わって幕が下りた後には、

なんと浅草の神輿が舞台に雪崩れ込んでくる、

まさかの貴重な映像まで!

 

まさかの演出に驚きつつとても嬉しそうな勘三郎さんと、

彼の「平成中村座」への思いを実現するために尽力したであろう、

浅草商店街の仲間たちのしてやったりの表情、

そしてその後ろには東京スカイツリーの凛とそびえ立つ姿、

感動の涙が溢れて止まりませんでした。

本当に素晴らしかった。

 

こうして感動の気持ちを抱えたまま劇場を後にし、

久しぶりに実家に立ち寄りました。

お茶を飲みながら母とあれこれおしゃべりし、

両親と大笑いしながら早めの夕食を食べてからの帰り道、

しみじみとああ良い一日だったな、と思いました。

 

なんだか人の温かみが深く心に沁みた土曜日でした。