春のはじめには満開の桜で賑わう夙川ですが、
実は風薫る頃にも風情ある景色が広がります。
約250もの鯉のぼりが泳ぐのです。
もともとは阪神大震災の後、
静岡から鯉のぼりが贈られたことが始まりだということですが、
私が初めて夙川にたなびく鮮やかな鯉のぼりを見たのは
4年前にアルと一緒に帰国したとき。
西宮に住む妹と、犬の散歩がてら香櫨園駅で待ち合わせをし、
みんなで一緒に妹宅へ歩いたその道でした。
せっかく近くに住むようになったのだから、
端午の節句の爽やかな朝、
じっくり散策に出かけてみることにしました。
緑深い松並木につづく色彩に富んだ鯉は、
朝日を受けて眩しく心地よさげ。
人も少ない川沿いを歩く私も気持ちがよく、
鯉のぼりが途切れた後もずんずん上流まで足を延ばしました。
夙川上流は緑に囲まれ、
北側の北山公園から緑化植物園、甲山へと続く緩やかな山道は、
人気のあるハイキングコースです。
目の前に広がる緑に引き寄せられるように歩いていると、
ハイキングコースの入口となる銀水橋までたどり着きました。
予想外だったけれど、意外にハイキングまでできるかも、と
ひとりで勢いよく山道に入りました。
途中までは順調でしたが、さすがにあまりに軽装備。
喉は乾くし、日よけもなし。
そもそも底がつるつるのスニーカーでは滑ります。
手にはカメラのみ、お財布だってありません。
無理はせず今日はここまで。
鯉のぼりの記憶が新しいうちに、引き返すことに決めました。
今度はしっかりおにぎり持参で出かけることにして。