奈良へ

 

昨日は母と妹と奈良まで少し特別なお出かけ。
なら100年会館へ歌舞伎の公演を観に行ってきました。

どうして奈良で歌舞伎鑑賞をすることになったかというと、
夏にフェスティバルホールへ六本木歌舞伎『座頭市』を
観に行った際に配布された広告物の中に入っていた
“「古典への誘い」チケット先行受付のご案内“の
簡易チラシが事のはじまりです。

「古典への誘い」は、伝統芸能である歌舞伎をより分かりやすく、
多角的に味わってほしいと市川海老蔵が企画する全国ツアーで、
今回の演目は『身替座禅』と『男伊達花郭』。
まず4月に全国14か所を回り、その後また秋の巡業が組まれたようです。

手にしたチラシによると11月13日(月)に神戸で公演があるとのこと。
行ってみたいけれどあいにく平日は仕事があります。
さすがにそのために仕事を休んでまでという気持ちは全くなかったのですが、
11月11日(土)に奈良で昼夜2回公演があることに心が動きました。
11月11日は妹の誕生日なのです。

わざわざ奈良まで行くのもちょっと・・・の気持ちも、
妹の誕生日だから特別感があっていいじゃない?に変わり、
かと言って、妹が古典歌舞伎に興味がなければ意味がないので、
急いで本人に確認すると「見てみたい!」。
この際せっかくなので母にも声を掛けて3人で出かけてみるのもいいかも、と
母に尋ねてみると「行きます」の返事。
チケット先行受付の案内だったこの簡易チラシに見事誘導されるがままに、
座頭市』を観てからわずか1週間後、
「古典への誘い」のチケット3枚、郵便為替で申し込みました。

チケットは10月初旬に発送予定と書いてあったのに、
なかなか届かないので心配していたら、
玄関の扉についている郵便受けの目に届かないところに、
書留の不在連絡票を見つけたのが10月17日。
10月10日に配達があったようですが1週間気づかず、
保管期限最終日に気づくことができたので、
翌日夜間の再配達で無事に受け取ることができました。

3枚つづりのチケットは、Hブロックニ列1番~3番。
会場の座席図を調べるとHブロックは右側の最前列から4列目までの
前方スポットです。
チラシ先行だったから良い席が確保できたのか?!
郵便為替は面倒だったけどその甲斐あって当日がさらに楽しみになりました。

というわけで、当日は阪神線の近鉄奈良行きに乗って、
1時間10分ほどかけて会場最寄り駅の新大宮駅まで。
時間はかかりましたが乗り換えなしで楽々到着です。
公演が12時半からだったので、途中でお弁当を買って持って行こうと、
事前に調べた有名な釜飯屋さんに立ち寄りましたが、
お弁当も注文を受けてから作るそうで時間がかかるとのこと。
残念ではありましたが、なんと母が炊き込みご飯のおにぎりを作って
持ってきてくれていたので、お昼はそれで心配することなく会場へ向かいました。

開場したホールの座席表でも確認し、右側最前方のHブロックニ列1番~3番へ。
前から2列目で本当に舞台が近い!
すごいね~、よく見えるね~と興奮しながら座席について開演を待つ間に
私だけもう一度お手洗いに。
戻って来てみると、あれ?母と妹が何やら立ち上がっています。
「ここは私の席なんですけど」と後からやってきた方に言われたようです。

慌てて手元のチケットを確認すると、やはりHブロック二列1番~3番。
ここはHブロックだし、間違いない。
後から来られた方のチケットはHブロックロ列1番~3番。
あれ?漢数字ではなくまさかのイロハニ表示での列表示?!
てっきり二列が2列目だと思い込んでいたみたい。ショック。
2列目ではないニ列は一体どこだろう?と慌てるも、
わずか1列後ろ、前から3列目が二列でした。
(イ列なしで、最前列1列目がロ、2列目がハ、3列目が二)

ということで、それでも3列目での舞台鑑賞。
『身替座禅』の幕が開いた途端、
舞台右側の常磐津連中の三味線と長唄が間近で見られ、
順に登場する侍女、奥方、太郎冠者、主役の山蔭右京
それぞれの表情もしっかり見えて一気に舞台に釘付けです。
『身替座禅』は、狂言を歌舞伎の舞踊劇にしたもので、
役者の掛け合いがコミカルで笑いが絶えず。
表情や細かな動きで笑いを誘う主役の市川海老蔵
良く通る声で貫禄たっぷりの奥方役の片岡市蔵さんはさすが見事でした。

休憩を挟んで『男伊達花郭』。
男伊達が主人公の古典作品をもとに、
市川海老蔵のために新たに作られた舞踊だそうですが、
主役を中心にして繰り広げられるアクロバティックな立ち回りが美しく、
迫力と華のある演出で男伊達が相当格好いい!!
白地の粋な着流しに、片腕を脱げば赤い襦袢が鮮やかで、
桜のディスプレイもさらに華やぎを与えます。
市川海老蔵が何度も見得を切る姿はまさにお見事でした。

やはり今回の公演は、座席が良かったことが何よりよかったです。
華やかな細工が施された衣装や、迫力ある音楽、
役者の細やかな動きや表情を間近で見られたからこそ、
これだけ満足感がありますが、
そうでなかったら、少し物足りなさを感じたかもしれません。
何しろわざわざ奈良まで来ていますし、S席11000円でしたから。

なんてはやり庶民的な感想も持ちながら、
帰りは近鉄奈良駅から始発電車に乗って帰ることにし、
乗り換えなしで1時間15分ほど電車に揺られて帰ってきました。

せっかく奈良まで来たのだから少し散策してもよかったのだけど、
冷たい風が強く人の出も多かったので駅前でコーヒーを飲んだだけ。
でも、母と妹といろいろ話をすることができたし、
少し特別な楽しい一日になりました。

お付き合いありがとう。
そして誕生日おめでとう!