源氏物語

 

3月3日ひな祭り。
妹と一緒に「源氏物語」を観に行きました。

 

市川海老蔵特別公演『源氏物語 第二章〜朧月夜より須磨・明石まで〜』
11月に母と妹と奈良まで出かけた古典への誘いに引き続き、
全国巡業歌舞伎の神戸公演です。

 

第十一代團十郎、第十二代團十郎も演じ、
海老蔵自身もこれまで何度も演じてきたことのある光源氏
3年前に市川海老蔵特別公演として、歌舞伎と能、オペラ、華道を
一つの舞台に融合させた新しい『源氏物語』が初めて上演されました。
昨年4月には続編となる『源氏物語 第二章』が京都で初演され、
今春さらに歌舞伎の舞台演出にプロジェクションマッピングを用いることで、
これまでにない世界感をつくり全国各地の劇場で披露されることになりました。

 

歌舞伎、能、オペラという伝統芸能がどのように融合されるのか、
そこに最先端の映像技術がどのように用いられるのか、
斬新で壮大なプロジェクトに期待が高まります。

 

公演は午後1時半からだったので、その前に妹と三宮でランチ。
近々会う予定の友人が予め調べてくれたランチ候補店の一つを、
妹とのランチ選びに参考にさせてもらい、小さな和食店へ。
メイン1種に小鉢3種が好きに選べる魚定食に、
私も妹もサワラを選びそれぞれ好みの小鉢を選んで、
とても美味しくいただきました。

 

さて、食事も終わりいよいよ公演会場の国際会館へ向かいます。
あいにくの2階席は少し残念ですが、3階席の人もいることを思えば、
まあ仕方ない。
1階前方を見下ろすと、お着物をお召しになられた方々ばかりですから。
まもなくの開演を待ちながら会場をぐるりと見渡し、
ちょっと後ろを振り返るとなんと!親戚の叔母さん発見!!
自他共に認めるミーハー(死語か?!)なので驚きはしませんが、
まさかの遭遇にはびっくりです。
(声はかけずにそっとしておきました…。)
そしてすぐに公演の幕が開きました。

 

 

ここから鑑賞後感です。
第一幕は朧月夜と光源氏の恋をオペラと歌舞伎で、
第二幕は能と歌舞伎のコラボレーションを軸とした舞台。
両幕とも幕開けはプロジェクションマッピングで、
美しく花が散る様子や景色の中に光源氏が佇む姿のバーチャル映像で、
観客を物語に引き込みました。

 

市川海老蔵が演じる光源氏は、本当に艶やかで美しいの一言。
華やかさにも憂いを帯びた佇いに光の君の“心の闇”が
よく表現されています。
第二幕の最後、花道の代わりでしょうか客席後方から舞台に上がり、
最後の最後の見得はさすが当代きっての歌舞伎役者です。

 

しかし、そう思った瞬間に幕が下り、え?これで終わり?
なんだか少し物足りないように感じました。
おそらく今回オペラと能が融合することで、
歌舞伎の要素(醍醐味)が全体に少なくなり、
本来の歌舞伎を期待していると肩透かしとなったのでしょう。
役者市川海老蔵を目当てにしていた人も、
少しガッカリするかもしれません。
決して出ずっぱりではありませんし、
能とオペラに知識や興味がなければ一層です。

 

とはいえ、能やオペラという異なる伝統芸能
このように一つの演目に纏めあげたのは凄いことです。
内容はより概念的であるものの、
源氏物語」は能でも演じられる演目だということで
見事にストーリーに取り込まれたと思います。
市川ぼたんさんの素晴らしい舞踊が組み込まれている点も現代的で、
市川海老蔵という人がこれからの歌舞伎のあり方を
模索していることがよく分かります。
実験的要素も含めた「市川海老蔵特別公演」でした。

 

そして余談。
公演終了後混み合うロビーで海老蔵さんのお母様が、
ご贔屓の方々にご挨拶されているところに遭遇しました。
品があって美しい!
團十郎さん亡き後、立派に息子が團十郎襲名することを、
心の強い拠り所にされていることと思います。
その日は遠くないでしょうか。楽しみです。