沖縄2日目

 

12月26日

朝、8時半にホテルを出て、
モノレールで首里城を目指します。

 

曇り空でセーターだけでは少し肌寒かったけれど、
首里城内へ入った途端に青空が広がり陽射しが強い!
青い空に赤い琉球建築がよく映え、
高台から市内を見渡す気持ちも晴々です。

 

気分良く首里城公園をひと通り見学した後は、
日本の道百選に選ばれた金城町石畳へ。
石畳と石壁に囲まれた坂道では、
赤い煉瓦やシーサーが見え隠れし、
異国に来たような独特の雰囲気です。

 

ちょっとした横道にもそれながら石畳を上り降り。
坂道を下り切ったときにはさすがに疲れが。
元来た道を戻るのも大変なので、
別の道から帰ろうと思ったのが間違いで、
方向を失って同じ所をグルグルしたのち、
結局元来た道を辿って首里城前まで戻りました。

 

その後、歴代の琉球国王が眠る世界遺産の玉陵へ。
敷地内入り口のガジュマルや苔で覆われた石造りの墓は、
アンコールワットを思い出させます。

 

首里周辺の散策を満喫し正午を過ぎたところで、
モノレールで牧志駅まで戻り牧志公設市場に向かいました。
戦後すぐに開設され市民の台所と言われる市場には、
珍しい野菜やカラフルな魚、様々な部位の豚などがところ狭く並び、
こちらもまたアジアの市場を彷彿させます。
沖縄はアジアの国々との共通文化が強いことを改めて認識しました。

 

喧騒と匂いに圧倒されたので、
新鮮な空気を求めて市場を出て
壺屋やちむん通りに向かうことにしました。
沖縄の伝統的な焼き物を扱うお店が並ぶ通りです。

 

店先に並ぶ焼き物を見るより先に目についた綺麗な花見上げていると、
突然地元のおじさんに話しかけられました。
「これは〇〇というの。他にもいろいろあるから教えてあげる」と
その辺り一帯をあるきながら、たくさんの草木を見せてくれました。

 

シークワーサー、グアバ、マンゴー、バナナ、といった亜熱帯の植物から、
ハイビスカス、ブーゲンビリアなどの沖縄のお花、
サクラやスミレやバラまで次々に説明しながら葉っぱをちぎって香りを嗅がせ、
石垣に隠れるように 埋められているシーサーや珊瑚を見せて周ります。
篭るように話すおじさんの方言も全く聞き取れないまま、
へー、なるほどー、と頷きついて行く私。
勝手に人の庭を覗き込んだり、焼き物の工房に入ったり。

 

「ガイドの資格がないからね。
でも、花が好きな人にいろいろ教えてあげるの。
あ、ほれこれ〇〇、はい匂い嗅いで」
お構いなく歩き回るおじさんについて行くのに必死ですが、
完全にマンツーマンのガイドさんです。

 

さすがに午前中によく歩いた私もそろそろ疲れて来ました。
すると「市場も行ってみるか」と牧志公営市場内へ。
さっきも来たばかりですが、おじさんが一緒なら違います。
売られている珍しい物を指差して教えてくれ、
途中で誰も気づかないような色あせたかつての市内の写真や
ポスターの前で立ち止まっては細かくと説明してくれます。

 

やがておじさんも疲れたのか、
公営市場を出て周辺の商店街でアンパンやら沖縄銘菓、
お茶を買ってくれてベンチで休憩。
甘いものが苦手な私は、今はお腹いっぱいだから後で食べますと
お茶だけ飲みました。

 

しばしの休憩後また商店街の中を歩き始めました。
地元の商店街ではローカルのカラオケ大会開催中。
パイプ椅子が気持ちだけ置いてあるような地味なカラオケ大会ですが、
ちょっとだけ見ていこうとおじさんが足を止めたとき、
なんとこんな場所で担当の留学生を発見!!
彼がこの休みに沖縄へ行くことは知っていたのですが、
まさかこんなローカル感たっぷりの場所で…。

 

と、そんなこんなで焦る私をよそに、
おじさんはまた商店街内を隈なく歩き回り、
最後に「はい、ここに座って」と小さな店先に腰掛けました。
ここで供されたのができたてのスパムおにぎり。
分厚い豚のハム肉スパムと卵焼きをしっかり握った
特大サイズのおにぎりです。

 

これはさすがに食べなければ…
意を決して大嫌いな分厚いハムが一枚どっしりと入った
ずっしり重い特大おにぎりを完食しました。

 

食べて早々にまた少しまた辺りを歩いたら
おそらくこの界隈は網羅したのでしょう、
「ホテルはどこ?」と尋ねられました。
県庁の近くですと答えると、
そちらの方面まで行く用事があるから一緒に行こうと、
今度は国際通りをすたすた歩き始めます。

 

土産物屋が立ち並ぶゴミゴミした通りですが、
ここでも何かと説明しながら早歩きは止まりません。
そして大きな菓子土産物屋に立ち寄り、
「ここは試食が一杯あるよ」と次々に爪楊枝に刺した試食のお菓子を
渡してくれます。

 

普段ならお菓子は食べられないのでいりませんときっぱり断りますが、
おじさんを前にしてはそれも躊躇します。
食べる振りをして口に中に入れはこっそり吐き出し(失礼)、
私なりに気遣って試食のお付き合い。
だって、もうすぐお別れですから…。

 

そのお店を出て、信号を渡ったところでお別れでした。
「本当にありがとうございました。
色々教えてもらってご馳走にもなって。
たくさん歩かせてしまいましたね」

 

「いや、歩くのは好きだからいいの」と
すでに自分の帰る方へ歩き始めています。
おじさんの背中に向かって「ありがとうー!」と声をかけると、
背を向けたまま「じゃあまた会おうな」。

 

思いがけない出会いでおじさんと共に那覇の町をよく歩きました。
珍道中に感謝です。