初春シネマ歌舞伎はじめ

 

1月3日。
新年の始まりにシネマ歌舞伎を観に行きました。
かつて映画関係の仕事をしていた頃に、
毎年元旦に映画館に映画を観に行くことを
恒例にしていたことを思い出します。
今となれば、映画よりも歌舞伎の方が華があって
新年にふさわしいように感じますね。

2020年最初のシネマ歌舞伎は『郭文章 吉田屋』。
当代片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さん共演の上方歌舞伎です。
江戸歌舞伎が「荒事」といわれる豪快様式美を強調するのに対し、
大坂・京都で生まれた上方歌舞伎は「和事」と呼ばれる
柔弱な色男の恋愛描写など、艶のある風情と演技が特徴です。
関西の人は義理人情が厚いとよく言いますが、
歌舞伎芸風にもそれが良く表れているようです。

この『廓文章 吉田屋』は、放蕩の末に勘当された
藤屋の若旦那伊左衛門と夕霧との恋物語という、
上方歌舞伎の代表作なのだそうですが
この金持ちボンボンダメ男 伊左衛門を、
バカバカしくも憎めない人物として演じるなかに
滑稽さや愛嬌だけではなく艶やかな色気さえ表現できるのは
さすがは仁左衛門さん。
相手役の玉三郎さんの美しさと仁左衛門さんの格好良さは
本当にあでやか、まさに黄金コンビですね。

新年から上方の和みを愛で、
幸先の良いスタートとなったような気がします。
今年も歌舞伎を楽しみに。