体調も回復し何か気分転換がしたいと思っていたときに
ちょうど楽しみにしていたシネマ歌舞伎の上映がありました。
2018年1月に歌舞伎座から始まり、
11月の京都南座で締めくくられた高麗屋三大襲名披露興行のうち、
7月に大阪松竹座の「七月大歌舞伎」で上演された「女殺油地獄」。
新・松本幸四郎さんが主人公の与兵衛を、
市川猿之助さんが油屋の女房・お吉を演じた舞台の映像化です。
家庭の事情でわがままに育てられた青年与兵衛が、
馴染の人妻のお吉を惨殺しお金を奪って逃げる、という物語は、
江戸時代に実際にあった事件をもとに近松門左衛門が創作した作品だそうです。
借金で親からお金を巻き上げようとし、家族に手をあげ、遊び呆ける、
放蕩の限りをつくす与兵衛の刹那的な感情を巧みに表現する幸四郎さんを、
スタイリッシュなカット割りがさらにクールに魅せます。
油にまみれながら逃げ回るお吉と、必死に追う与兵衛。
血みどろで繰り広げられる殺戮の場面は、幸四郎さんと猿之助さんの息もぴったりで、
おどろおどろしい殺しのなかにふたりの間にほとばしる色気までも醸し出す
映像ならではの素晴らしい見せ場でした。
これからの歌舞伎の中心になっていくであろうふたりが
今後も何度となく取り組む作品になっていくのではと楽しみですが、
はやり片岡仁左衛門さんの与兵衛を一度見てみたい…!
久しぶりのシネマ歌舞伎に大満足、本当に良い気分転換になりました。