七月大歌舞伎

 

 

関西・歌舞伎を愛する会 結成40周年記念

七月大歌舞伎 昼の部を観に大阪松竹座へ行ってきました。

 

チケットぴあの先行抽選申し込みで購入した3等席。

今回の座席は3階右列2番です。

昨年10月に鑑賞した際の座席が3階右列1番で、

舞台の右側が見切れるものの舞台正面までの距離が近く、

双眼鏡もいらないくらいに役者の顔がよく見えたことを思い出し、

ひそかに指定された席を喜んでいました。

 

昼の部の幕開けは、「色気噺お伊勢帰り」から。

間の抜けた左官の喜六役の中村鴈治郎と二枚目の大工の清八の役の中村芝翫

新喜劇さながらの軽快な掛け合いが関西らしい楽しい舞台でした。

元は松竹新喜劇で故藤山寛美が喜六を演じて笑わせたそうですが、

本作の鴈治郎も愛嬌たっぷりで笑わせます。

お二人とも役柄と息がぴったりで、夏の暑さも吹き飛ばす軽やかな1時間。

 

続いては、「厳島招檜扇」(いつくしままねくひおうぎ)

平清盛が檜扇で沈む夕日を招き返し清盛の威勢を表現した歌舞伎の様式美に

溢れた格調高いひと幕です。

元々は江戸時代の作品で長く上映が途絶えていた本作は、

2013年に新たに構成されて片岡我當が主役の清盛を演じて当たり役となっていたとか。

今回は、その片岡我當が約4年半ぶりに舞台復帰となったそうで、

大向こうから「松嶋屋!」と声がかかり拍手があがりました。

 

最後は、「義経千本桜 渡海屋・大物浦」(とかいや・だいもつのうら)

義太夫狂言の三大名作のひとつに数えられる義経千本桜。

源平合戦で大きな功績をあげながら、兄頼朝と対立して悲運の最期を遂げた

源義経都落ちした義経に、死んだはずの平知盛、教経が再び襲い掛かるという

全五段の壮大な歴史絵巻です。

こんかいはそのうち、二段目の「渡海屋」「大物浦」の場。

十五代目片岡仁左衛門さんが平知盛を演じるとあって楽しみにしていました。

 

白装束に長刀を持った姿の仁左衛門さんの凛々しさと美しさ、

死闘の末血だらけの息も絶え絶えの姿の仁左衛門さんの鬼気迫る迫力、

客席が静まり返り一挙手一投足に固唾を飲む迫真の演技に、

圧倒された1時間45分。

芸能に精進した役者の姿に心を打たれました。

人間国宝とはやはりその存在自体が芸術なんですね。

 

三幕ともにそれぞれの歌舞伎への思いが伝わる素晴らしい公演でした。

 

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