母とシネマ歌舞伎へ

 

昨日は、母を誘ってシネマ歌舞伎を観に行きました。
2週間早いですが母の誕生日祝いです。

 

今回の演目は『京鹿子娘五人道成寺』。
女方の技術全てが含まれ女方舞踊の最高峰位置すると
言われる『娘道成寺』。
通常は1時間近くをひとりで踊り切る大曲で、
現代では坂東玉三郎さんの当たり役とされているこの作品を、
玉三郎さんと若手4人の5人で踊り分けた特別版です。

 

美しい衣装を纏った主人公の花子を、
時に代わる代わる、時に5人揃って踊り次ぐ舞台は、
本当に豪華で優美です。

 

同じ役を演じてもそれぞれに個性あり、
中村勘九郎七之助兄弟がぴったり息を合わせて
並んで踊る姿も見せ場ですが、
何より女方の至宝と称される玉三郎さんの
鍛錬と経験と才能が抑えた演技から滲み出る姿は、
流石としか言いようがありません。

 

一点残念だったのは、踊りや場面が代わる時に、
役者のインタビューが挿入され舞台の流れが途絶えてしまうこと。
ただしこれは、玉三郎さんご自身がシネマ歌舞伎として編集され、
観客がそれぞれの個性を見分け、
それぞれの想いを理解しながら鑑賞できるようにとの工夫と、
歌舞伎とは違うシネマとしての成り立ちを考えられたからだと、
作品鑑賞後に過去のインタビューを読み、
玉三郎さんの狙いを理解しました。

 

口伝で伝えるよりも一緒に舞台に立つ方が良いという
歌舞伎を次世代に繋ぐ強い想い、
自分だけでなく将来を担う若い世代にも目を向けてほしいという
観客へのメッセージまでもが込められているように感じます。

 

逆に同時上映だった『二人腕久』は、
飾り気なくシンプルに舞台をそのまま映像に収めた作品となっていて、
玉三郎さんの幻想的な舞踊が引き立ちなおも存在感が光りました。

 

いつか娘道成寺を通しで観てみたい、
いつか実際に坂東玉三郎の舞台を観てみたい、
そう思わずにはいられない今回のシネマ歌舞伎でした。
何より、母が「玉三郎良かったわ」と言ってくれた事が、
一番嬉しかったです。

 

さて、2人で玉三郎さんに魅せられた後、
せっかくなので三宮でランチを食べて帰ることにしました。
母がお店はもう決めているのかと聞くので、まだだと答えたところ、
鉄板ステーキのお店はどうかとの提案。
山の会の仲間が皆で行ったそうで
手頃な値段で鉄板ステーキよかったよと聞き、
一度行ってみたかったそうです。

 

阪急三宮北側すぐの雑居ビルに入ったお店。
鉄板付きの8人掛けテーブルが何セットも置かれていて、
満席の店内はカメラを手にした中国人と韓国人でびっしり。
各テーブルの鉄板にはコックが入れるスペースがついていて、
その場でお肉を焼いてそれぞれに供してくれるスタイル、
リーズナブルに神戸牛も選ぶ事ができるとあれば、
観光客に人気なことは分かります。

 

母と私は並んで座り、4人の若い中国人と向かい合わせに
同じ鉄板を囲むことになりました。
私たちは普通のお肉、彼らは神戸牛を選んだようです。
鉄板まで運ばれてきたお肉の厚みが随分違う!笑
鉄板の上で一緒に焼かれているお肉を眺めたり、
周りから聞こえてくる中国語韓国語を耳にしながら、
ちょっと不思議で楽しく美味しいランチになりました。

 

歌舞伎にお肉、非日常の土曜日でした。
三宮で母とお出かけというのももう随分と久しぶり。
母の誕生日のおかげで素敵な休日になり感謝です。
また一緒にお出かけしたいな。
まだ少し先だけど、お母さん誕生日おめでとう!!